途切れることなく欲しいものが溢れてくる。香水が欲しい。ゲランやエルメスやペンハリガン、セルジュルタンスの香水が欲しい。コムデギャルソンのコートが欲しい。ギラギラした強そうな金の指輪と、上品なエメラルドのイヤーカフが欲しい。ミキモトのパールが欲しい。

 柔らかく軽く温かい毛布も欲しい。紅茶に入れるウィスキー漬けの角砂糖シロップも欲しい。中島みゆきの「親愛なる者へ」のCDとシルバーのラジカセが欲しい。

 東京都庭園美術館の庭を歩いて館内を見てみたい。池袋サンシャイン水族館で下からペンギンの腹を観察したい。新宿御苑をフラフラ歩いて、植物園にも行って、帰りにハンバーガーを食べたい。下北沢の珉亭でラーメンを啜りながらヒロトになりたい。何も考えずに電車に乗って音楽を聴きたい。

 

 自分は欲しいものもやりたいことも尽きないタイプの人間だと思う。欲しいもの、やりたいこと、なりたい人、そういうことを考えるだけ考えて、結局別のもので妥協する。

 

 欲しくて、なりたくて努力したことがあまりない。努力はしたこともあるけれど、それは周りが褒めてくれるからやっていただけで、今でも自分の感情で動いている感覚があまりない。就活の時に困った。褒められるために努力している、じゃダメなんだなあ。